Facebook ウッドベース・ページ Billion1開設!

Facebook ウッドベース・ページ Billion1開設!
このバナーをクリックするとページに跳べます!

2010年2月23日火曜日

小説 「バック ロード」 02  戸口 了

小学校の頃はアキラがカズオの家に通った。アキラの家庭は父親
が鉄工所を経営しており、長男は高校を卒業と同時に家業を継ぎ
次男と三男は手伝いながら高校に通学していた。アキラは兄たち
とは歳が離れており、可愛がられてはいたが、遊びに関しては足
手まといになるため敬遠されていた。体を使うものは勿論だが、
テレビゲームでも傍らで兄たちが楽しんでいるのを眺めているし
かなかった。そこでアキラはすべてを揃えてはいるがやり方の未
熟なカズオの家へ行き、兄たちから仕入れたやり方を見よう見ま
ねでカズオにひけらかした。
器材を提供する側と方法を提供する側の協定が自然と結ばれてい
た。しかし、自宅で器材に触れさせてもらえないアキラと、自分
の器材を心行くまで使えるカズオでは、おのずと大きな開きがで
きることは明白だった。もともと器用だったカズオと大雑把なア
キラには差がついた。アキラはゲームでは勝てなくなり、そして
ゲーム自体に飽きていた。
気性の激しい家庭に育ったアキラは、ケンカでは負けたことはな
かった。負けて帰ることは許されなかった。だから、勝つまでや
った。殴られても殴られても、立ち向かった。体自体は小さいの
だが、バネと力を持っていた。

0 件のコメント: