アキラとカズオは全校で一躍有名になった。そして、ボクシング
部には数名の新入部員ができた。キョウコとヤスコも戻ってきた。
三年生は姿を消していた。カズオが部長になり他の部員を指導し
た。その間にアキラはロードワークをこなし、戻ってくると他の
部員をロードワークに出したカズオとスパーリングを重ねた。
練習は厳しかったが、それ以外は全員歳が同じで、女子もいるた
め文化部のように和気藹々としていた。練習後、だれかが持ち込
んだギターを皆で弾き回すこともあった。アキラは三年間でコー
ドを押さえるのがやっとだったのに対し、カズオは強い興味を覚
え自分でも購入し自宅で練習した。三年生になった頃には部内で
カズオの右に出る者はいなかった。カズオにとってはハードな高
校生活であったが、楽しさが打ち勝ち、なんとかこなした。アキ
ラもそんなカズオを見ており、発奮し、カズオといない時間は出
来る限りジムに通った。
そんなアキラとカズオは二人ともヤスコに恋心を寄せていた。な
んでもてきぱきとこなし、部員の面倒を見る姐さん肌のキョウコ
より、健気にキョウコの手伝いをし、一歩下がっているように見
えるヤスコを意識した。
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