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2010年4月14日水曜日

小説 「バック ロード」 44  戸口 了

     8
単調な高速が益々アキラに襲いかかる。
出口は遥か先、この高速の終点。アキラは本線と追い越し車線の
間を行ったり来たりして、変化をつける。しかし、次第にハンド
ルを握る手から、力が失われていくのが分かる。車の振動と波長
の合わない自分の指先を見つめた。そしてガソリンが底をついた
のに気付いた。
給油のために次のパーキングのハイオクのスタンドに着けた。
「いらっしゃいませ!」
「満タン。」
「はい!・・・お客さん、いい車ですね。俺も乗ってみたいなあ。」
「ああ、乗るだけなら簡単なことだよ。」
「はあ?・・・それにしても、お客さん。ちょっと顔色悪いです
よ。」
アキラは自分の体調を悟られるのを嫌った。
「あ、早起きしたから。そうだ、悪いけどコーヒーを一杯、持っ
てきてくれないか。」

清算と一緒に、従業員はホットコーヒーを紙コップで持ってきた。

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