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2010年4月10日土曜日

小説 「バック ロード」 40  戸口 了

     7
グラウンドに二筋のライトが延びている。カズオは待っていた。
アキラはライトと垂直にコルベットを停車させた。エンジンを切
り、外に出る。瞬間、ライトで表情は見えなかったが、カズオが
飛び掛ってきたのが分かった。
「アキラ!お前、なにやってんだ!」
左頬に衝撃を受け、アキラは仰け反った。口の中に痛みが走る。
左手の甲で拭うと血が付いていた。
「まだ、衰えてないな。」
一瞬、笑みを浮かべたアキラは構えて、一歩退いたカズオとの間
合いを詰めた。カズオは後ろに退きながらもパンチを繰り出す。
アキラは本来のボクシングスタイルに戻っていた。カズオに打た
せるだけ打たせていた。自分から手を出してしまった以上、退く
に退けなくなったカズオは戸惑った。アキラの真意が掴めない。
カズオの目を見ていたアキラはそれを気付いていて、どこかで決
着をつけなければならないと考え、その機を窺った。

カズオの左ストレートが見えた瞬間、反射的にアキラはクロスカ
ウンター狙いの、右ストレートを放つ。

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