「やめて~!!」
しかし、同時に後方のコルベットのドアが開く音と、ヤスコの絶
叫がアキラの胸を貫いた。
速度の鈍ったアキラのパンチより早く、カズオの左ストレートが
アキラの顎を捉えていた。
カズオのカウンターをまともに喰らったアキラは後方に吹っ飛び
ながらも体勢を立て直そうとしたが、コルベットの屋根の角に後
頭部を打ち付け、そのままの姿勢でコルベットを背に崩れ落ち、
意識を失った。
「アキラ!」
目を開けたときには、辺りは明るくなっていた。そして、心配そ
うに覗き込むカズオの顔がある。
「気が付いたか。大丈夫か?」
「ああ、多分。」
「俺の家へ行こう。とにかく診なきゃだめだ。」
カズオはアキラを抱き起こし、反対側の助手席に向かおうとした。
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