四人はいつも一緒だった。部活がそのほとんどだったが、たまに
日曜日に遊園地へ遊びに行くのも四人だった。塾が同じせいでど
ちらかというとキョウコとカズオに会話がはずんだが、カズオの
気持ちに気付いているアキラは抜け駆けはしなかった。カズオも
アキラの気持ちを知っていた。二人は決して口に出すことはなく、
お互いの心の奥にしまい込んだ。二人はそのことを避けるように、
できるだけ他のことに熱中した。
三年間、ボクシング部はかなり優秀な成績を修めた。二人が三年
生になったときには部員も二十人を超えていた。そしてアキラと
カズオは負けたことがなく、すべて優勝した。優秀な部員も集ま
りだし団体でも好成績を残すようになっていた。
ところが最後の大会のときに思わぬ事態に面した。カズオの身体
が大きくなり、軽量級では登録できなくなってしまった。大きな
大会は最後なのでカズオは渋々承諾した。
アキラとカズオの初対戦が優勝戦という決定的場面において、と
うとう実現してしまった。プロと互角に戦える実力を持った二人
は他を圧倒し、いやがおうでも勝ち進んでしまった。しかし、周
りの期待や好奇心が高まれば高まるほど、二人の戦意は失われて
いくのであった。
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