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2010年4月12日月曜日

小説 「バック ロード」 42  戸口 了

「ヤスコは?」
「あ、俺の車で帰したよ。今日は大事な日だから。・・・それと、
すまんな。アキラ。俺の誤解だった。」

「カズオ、俺の席はこっちだ。」
アキラはカズオの支えを振り払ってコルベットの運転席に転がり
込んだ。エンジンを掛け、カズオの乗り込むのを見て、一気にク
ラッチを繋ぐ。白いモンスターは朝靄の中をテールをスライドさ
せ、急発進した。
「アキラ、身体を診てから、少し休んでてくれ。」
「後で迎えを寄越すから。」
「おい、聞いてるのか?」

アキラはいつもより激しい振動を感じた。疲れと軽い興奮のせい
だと思っていた。しかし、その振動が強烈な眠気を誘っているの
にも気付いていた。アキラはカズオの言葉にも上の空で、それら
を打ち消すようにアクセルを全開にする。
カズオの病院の玄関まで乗り入れてコルベットは急停車した。

「カズオ、俺、帰るよ。」

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