ボクシング部は明るくなるはずだった。しかし、結果はまるで逆。
四人いた三年生は二人がジムに所属しているのを知り、嫉妬心か
らマネージャーがいないときには徹底的に二人を苛め抜いた。特
に部長が陰湿だった。毎日スパーリングの相手をさせ、構えたミ
ットをわざとはずし、身体に直接パンチを入れた。二人は耐えた。
カズオはすぐにパンチを見切り、かわしたりダメージを受けない
程度に当てさせ誤魔化していたが、アキラは部長のパンチを思う
ように浴びた。しかし、目は部長の目を射抜いていた。
ある日、部長はアキラにグラブを着けさせてリングに上がらせた。
「はら、打ってみな。打てるんならな!」
同時に無数のパンチがアキラを襲った。
「なんだよ!やりてえんだろ!」
実戦に慣れていないアキラは手を出すこともなく、ことごとくパ
ンチを受けていた。そして、睨んでいた。
「その目が気に入らねえんだよ!」
「アキラ!」
カズオの一声が飛んだ。同時に初めて手を出したアキラのストレ
ートが部長の顎に炸裂した。
カウンターを喰らった部長はそのまま崩れ堕ちた。
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