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2010年3月2日火曜日

小説 「バック ロード」 06  戸口 了

アキラは頭の中でカウントを始めた。テンになっても部長は身動
きひとつしなかった。アキラはノックアウトの衝撃を身をもって
感じた。他の部員が部長のところに駆け寄り介抱していたが、ア
キラはカズオと連れ立ってリングのある体育館を後にした。
翌日から、部長は顔を出さなかった。他の三年生部員も出るには
出たが明らかに二人を避け、隅のほうで淡々と個人練習をこなし
ていた。カズオは二人のマネージャーを辞めさせた。そしてアキ
ラとカズオは部で軽く汗を流し、ロードワークに出掛け、ジムで
仕上げるといった日々を送った。
その年の秋の大会に二人は出場した。三年生部員は最後の大会に
なるのだが、部長がいないため参加を拒否した。二人は個人戦で、
アキラは中量級、カズオは軽量級で登録した。ほとんど体格が変
わらない二人だったが二人の対戦を嫌ったアキラがなんとか誤魔
化した。
そして全校始まって以来の快挙を成し遂げた。二人は優勝してし
まった。それもアキラはすべてKOで勝った。ヘッドギアを着けて
いるためKO確率は極めて少ないが、ハードパンチャーであるアキ
ラは相手に打たせるだけ打たせ、自分は相手のチンとレバーに集
中し、そして、決めた。一方、カズオはさらにKO率の低い階級で
カウンターで一つのKO勝ち獲り、他の試合も目を生かし相手のパ
ンチをかわして連打を打ち込みポイントをかせぎ、大差で圧勝し
た。

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