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2010年3月18日木曜日

小説 「バック ロード」 19  戸口 了

シンジは平日は他の従業員とは別で、いつも一人で自室に閉じこ
もりレコードを聴いていた。そして、週末になると必ずギターを
持ち、出掛けた。それが、都内のブルーススポットであり、そこ
で演奏していることは、誰かから聞いて知っていた。そんなシン
ジに呼ばれてどんな話をするのか、アキラには皆目、見当もつか
なかった。しかし、その日一日で、アキラはシンジにかなりの興
味を持っていた。
「シンジさん、アキラです。」
「おお、入れや。」
シンジの部屋は、造りはアキラの部屋と同じだったが、なにもな
いアキラの部屋とは別世界だった。壁一面にギターを抱えた黒人
の写真が貼られていた。ある者は喜びを満面に湛え、ある者は怒
りに満ち、またある者は哀しげに、そして楽しげに、それらはギ
ターを弾いていた。白人の写真も数枚混ざっていたが、いずれに
せよアキラの理解できるものではなかった。
そして、数百枚はあろうかと思われるレコードの棚が目を引く。
スタンドに掛けてある二本のギターとそれらを除くと、生活必需
品だけのアキラの部屋と変わらないのだが、実際は異空間を形成
していた。

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