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2010年3月26日金曜日

小説 「バック ロード」 26  戸口 了

「よし、呑みにいくぞ。二人で打ち上げだ。」
シンジに連れられ、二人はブルーススポットの近くの居酒屋に入
った。
「来週から、ずうっと演るからな。」
「どうだ?演った感想は。」
二人は旨い酒を呑んでいた。しかし、アキラは隣のテーブルで騒
いで呑んでいる同年代の四人の男達の視線が気になっていた。
「ねえお兄さん達、バンドやってんの?」
一人がシンジに向かって声を掛けてきた。
「いや、バンドってほどじゃないよ。」
「え~?けど、ギター弾くんだろ?なにやってんだよ。」
「ああ、ブルースをちょっとね。」
「じゃあ、ちょっと聴かせてくれよ。そのブルースってやつを。」
他の一人が絡んできたが、シンジは軽く受け流した。
「なんだよ。弾けねえのかよ。」
「今日は、ちょっと。」
「そうか、弾けねえのか。こちらさん、ギター持ってんのに弾け
ねえんだとよ!ケースん中は空だとよ!」
一人が店内一杯に聞こえるように大声でなじった。アキラの顔か
ら血の気が退いた。それと同時にシンジが席を立った。

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