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2010年3月27日土曜日

小説 「バック ロード」 27  戸口 了

「行くぞ、アキラ。」
シンジはさっさと伝票を手に取り、会計に向かった。アキラも黙
って、それに従った。
「弾けねえくせに、ブルース面すんじゃねえよ、なあ。」
アキラの背中に罵声が突き刺さっていた。
店を出た二人は無言で駅に向かった。途中の角のコンビニの前を
通り掛かったときにアキラが声を掛けた。
「シンジさん、すいません。ちょっと、飲み物を買っていきます
んで、先に行ってて下さい。すぐ追いつきますから。」
「あ、ああぁ。」
シンジが角を曲がったのを見届けて、アキラはすぐにきびすを返
した。
時間はあまりなかった。シンジが気付いてすぐに戻ってくること
は、分かっていた。アキラは急いで居酒屋の暖簾を上げた。
外で待ってはいられないので、一度店内に足を踏み入れた。連中
はすぐに気付いた。それを確認したアキラは外に出た。
間もなく、男達は出てきた。
「ようよう、なんだよ。弾く気になったんかよ。」
「ははは、ほら聴いてやっから、ギター出しな。」
「こいつは、開けとけよ。金、入れてやっからよ。」
一人がギターケースに蹴りを入れた。

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