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2010年3月31日水曜日

小説 「バック ロード」 31  戸口 了

部屋に戻ったときに、ドアの隙間に一通の手紙が差し込まれてい
るのに気付いてはいた。しかし、アキラはかなり酔っていたのも
あり、手にしてそのままテーブルの上に放り投げ、ベッドに潜り
込んだ。そして、泥のように眠った。
目覚めたのは、翌日の昼を過ぎていた。工場から聞こえる物音で
目が覚めた。土、日はアキラの会社では誰も就業していなかった。
前日の酔いの名残りを留めたアキラは、台所で頭から冷水を浴び、
ベッドに腰掛けた。しかし、一向に醒める兆しを見せなかった。
それを、一瞬にして変えたのは例の手紙だった。
手に取りベッドに戻ったアキラはそれを、差出人を見ても、それ
がカズオの父親であることに暫く気付かなかった。そして、封を
切り、中に列記されているヤスコの名を確認して、初めてすべて
を理解した。
アキラは暫く、動けなかった。事態を悟ったアキラの頭の中には
昔の思い出が、走馬灯のように蘇った。
居ても立っても居られなくなったアキラは、着替えて工場に降り
た。

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