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「元気だったか?」
「私?・・・元気。」
「どうしてたんだよ。」
「どうって、ここの大学出て、勤めてた。それより、アキラこそ
なにしてたの。あれっきり、なにも連絡ないんだもの。」
「別になにもないよ。なにも変わっちゃいない。」
「どうしてそんなこと言うの?」
「カズオに聞いてるんだろ?」
「う、うん。でも試合のことと、この前のライヴの話だけ。」
「ああ、それですべてだよ。」
「身体は大丈夫?ずいぶん心配したんだから。」
「多分。ボクシング、棄てたから。」
「でも、音楽やるんでしょ?カズオさん、誉めてた。夢があって
いいじゃない。」
「ああ、夢か。だけど、ブルースに夢なんかあるのかなあ。」
「なに言ってるの。アキラの夢でしょ。」
「いや、夢も・・・、棄てた。」
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